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エコタイヤ性能比較

 エコタイヤとは何? 燃費がいいこと(低燃費、省燃費)かな。決して間違いではないけれど、当初からメーカーの動きを詳細に追って来たのならこれだけじゃ物足りない。

 エコロジー + エコノミー で括るのがいい。低燃費に優れ燃料費を抑える、それは結果として走行時のCO2排出量を削減し環境に優しい、に繋がります。エコ=低燃費、だけではない。更にはエコバランス性能も追求しています。エコタイヤ発展期におけるメーカー主張はここを声高に訴えて来ました。

 一例だけれどブリヂストン、その定義は「転がり抵抗低減、軽量化などを図りクルマの燃費向上による走行時のCO2排出量削減に努め、環境、省燃費に配慮した自社基準を満足させるエコ対応製品」としている。ポイントを具体的に示すとこう。地球温暖化防止・省資源の推進・自然資源の使用・リサイクル・騒音低減・安全性向上。そして転がり抵抗低減しつつも安全性を犠牲にしない、です。

 いずれにしてもエコタイヤの発想はミシュランの グリーンタイヤ が発端では、とも言われています。ミシュランは1946年にラジアルタイヤを導入、転がり抵抗を30%低減させました。これにより低燃費、更にライフの向上など性能が飛躍的に向上しています。

 1992年、シリカをコンパウンドに配合することで、転がり抵抗低減への効果を実証。更に20%低減に成功しています。転がり抵抗を低減しようとするとグリップや摩耗性能が犠牲になるというのがそれまでの考え方でした。それを打ち破るのが グリーンXテクノロジー(グリーンタイヤ)です。この技術でミシュランは エコタイヤ を実現した、と言っていいでしょう。

 大きな衝撃を受けた各メーカーは、その後新たな技術を開発しそれを超えた 超エコタイヤ とも呼ばれる発想を展開することに。そして現在の主流は 低燃費タイヤ へ進化しています。これには明確な規定が示されています。

転がり抵抗とは? まずこの理解

 クルマの走行時には様々な抵抗を受けます。ヨコハマによると最大は空気抵抗で約65%にも及ぶという。そして20%がタイヤの転がり抵抗、その他部品の内部摩擦抵抗15%など。これを低減させればクルマの燃費が抑えられる、つまり使用する燃料の節約を実現しCO2の削減にも繋がる訳です。

 効果大きいとされるのがエコタイヤ、でも転がり抵抗とは何? 簡単に言えばクルマの走行時に受けるタイヤの抵抗で次の3つが挙げられます。走行時の変形によるエネルギーロス、トレッドゴムが路面との接地摩擦によるエネルギーロス、回転に伴う空気抵抗によるエネルギーロス。うち走行時の変形が全体の90%を占めるという。

 変形に対して少し詳しく。タイヤはゴムで形成されており回転すると接地面が変形します。一方で元の形に戻るという動きがあり双方を繰り返します。この時に転がり抵抗(エネルギーロス)が生じ、一部は熱となってタイヤの温度を上げてしまいます。

 これを相殺すれば低減が実現します。更にグリップも同時に保てれば、低燃費に優れ走りの安定性が得られます。しかし、双方は相反性能であって両立は難しい課題です。

 そこでミシュランが素材として採用したのが、シリカという二酸化ケイ素。カーボン(炭素)に比べ発熱量が少なく、コンパウンドに配合することでエネルギーロスを抑え転がり抵抗低減に優れます。更にはウェットやアイス路面で摩擦力が高く、湿度による硬度変化が少ないなどの特性も持っています。

 これらの技術をミシュランは グリーンXテクノロジー と呼び、1993年に発売した「MXGS」は同テクノロジーを搭載し日本で最初に発売したグリーンタイヤ、そうエコタイヤです。

エコタイヤの進化

 各メーカーでエコタイヤの発端は様々だけれどミシュランは既述した通り。そして国内メーカーも様々な発想で実現を図ります。以下当時話題になったヨコハマとダンロップの製品に触れます。

 ヨコハマは既存「BluEarth」へ繋がる「DNA」にその役割を課しました。「DNA dB」を進化させた「DNA dB ES501」を2004年に発売。そこから大きく進化し2007年「DNA dB super E-spec」を投入。重量構成比の80%に非石油系資源を使用。石油資源の使用を減らし廃棄時の焼却によるCO2の発生を抑えることも主張に盛り込みました。

 ダンロップはエナジーセーブとネイチャーセーブを組み合わせた「エナセーブ」の開発スタートが2001年です。そして2006年投入の「エナセーブ ES801」は、石油外資源を採用した超エコタイヤを強調。

 原料である化石資源を天然資源に置き換える石油外天然資源比率を、従来の44%から70%に高めた製品。2008年には石油外天然資源比率を97%にまで引き上げた「エナセーブ 97」を切り札として発売。つくるとき、使うとき、廃棄するとき の3段階でCO2の削減を訴えます。

超エコ から 低燃費タイヤへ

 素材改革等による超エコタイヤの出現で、他メーカーも大いに反応することになります。これにより市場に溢れるエコタイヤは、エコ性能の主張がメーカーによってバラバラ、効果の後ろ盾も弱いなどユーザーには戸惑いが見られるようになりました。極端な話、エコです! とアナウンスすればエコタイヤとして括られてしまう。

 自社製品の優秀性を打ち出すのは当然ながら、結果として市場での混乱を拡大させる懸念が生じていたのです。一方市場では冷静なユーザー判断もありました。各メーカーが主張性を高めれば高めるほど、その根拠に対する比較要件を求めるようになっていたのです。

 ここから新たな局面を迎えることに。2010年に『低燃費タイヤ』が出現、「転がり抵抗」と「ウェットグリップ」の規定をグレーディングで表示し、客観的な性能を示すことになったのです。

 この一連の経過は、タイヤ → エコタイヤ → 超エコタイヤ → 低燃費タイヤ へ。エコタイヤの発展系が低燃費タイヤ。結論付けると、大きな意味で低燃費や環境面での優位性を謳うのがエコタイヤ、公平性により一定条件をクリアしたのが低燃費タイヤです。

低燃費タイヤの定義を具体的!

 エコタイヤには公平な情報提供が求められていました。そこでデータ計測の統一的な見解や情報提供等について、国交省及び経産省が主導。低燃費タイヤ等普及促進協議会 を設置、2009年7月に方向性をとりまとめた内容が発表されました。最終的には業界自主基準として、決定されたのが低燃費タイヤです。翌2010年1月から適用開始。

 詳細に関しては、一般社団法人 日本自動車タイヤ協会(JATMA)より、ガイドライン(ラベリング制度とは) が発表されています。

 低燃費タイヤの定義、範囲はユーザーが交換用として販売店等で購入する、乗用車用夏用タイヤに適用されます。(新車装着、スタッドレス、M+S表示などは対象外)

 性能別にグレーディングシステム(等級制度)を設け、転がり抵抗係数 を5等級(「AAA」「AA」「A」「B」「C」)に、ウェットグリップ性能 を4等級(「a」「b」「c」「d」)にレベル分けします。

 その中で、転がり抵抗係数が「A」以上(「AAA」「AA」「A」)、ウェットグリップ性能が「a」「b」「c」「d」の範囲内、更に安全性の面から十分な性能を確保された製品が適合します。

 またユーザーに対して適切な情報提供をするラベリング(表示方法)の制度を構築。グレーディングシステムをカタログやホームページ等で表示、要件を満たした場合、低燃費タイヤ統一マークを併せて表示します。

 国内における実施メーカーは次の通り。㈱ブリヂストン、住友ゴム工業㈱、横浜ゴム㈱、TOYO TIRE㈱、日本ミシュランタイヤ㈱、日本グッドイヤー㈱、㈱ハンコックタイヤジャパン、クムホジャパン㈱、ナンカンタイヤ㈱、㈱オートバックスセブン、ピレリジャパン㈱、ネクセンタイヤ コーポレーション、㈱マキシスインターナショナルジャパン。(2020年3月現在)

欧州ラベリング制度(参考)

 2010年1月から先行する国内の低燃費タイヤ規定、そうラベリング制度の基になったのは先行議論が進んでいた欧州規定でした。しかしながらより厳密に施行する欧州では法規制化の為に導入は2012年11月からで、国内より2年遅れとなりました。

 欧州規定は、転がり抵抗係数が「A、B、C、D、E、F、G(「D」は使わない)」の6等級、「A」が最も優れ「G」が最も劣ります。15.3km/Lのクルマでは1等級上がるごとに0.18~0.24km/L(1% ~ 1.5%)燃費が向上するという。

 ウェットグリップ性能は「A、B、C、D、E、F、G(「D」と「G」は使わない)」の5等級で表示します。「A」と「F」を比較すると制動距離差は最大18mにもなるよう。

 また騒音は3段階の評価と音の大きさを表すdB(デシベル)で表示。バーが増えるほどノイズは大きくなります。いずれも基準に入らないタイヤは販売できません。

 注意点として欧州と国内では等級表示が同じ「A」でも指針が異なります。従って直接比較にはなりません。また欧州規定は法制化されているのに対し、国内規定は飽くまでも業界自主基準です。

 更に触れておくと実はタイヤに起因する騒音規制、国内でも2018年4月からスタート。現時点では新車乗用車が対象、ただ内容は欧州規制に準じるもので「72」~ 「79」dbに収めるのが基準です。

 参考として国内規定と照らし低燃費タイヤ要件同様を示してみました。前者国内 = 後者欧州 でこうなります。

■転がり抵抗係数
 AAA = A
 AA = B
 A = C

■ウェットグリップ性能
 a = A
 b = B
 c = C
 d = E

そして現状はどうよ?

 低燃費タイヤは2010年1月から導入され、2020年は11シーズン目を迎え世代進化が進みます。導入から2013年あたりまでが第1世代になるかと。エコタイヤからの進化がほとんど。その中でラベリング制度のグレーディング向上、つまり2つの性能を示すグレーディング向上に拘り、最高グレーディング「AAA/a」の実現を目指します。

 2014年から第2世代、2016年には同世代の熟成期に到達しました。グレーディング追求はそこそこに、カテゴリーにおける主性能の追求にシフトしています。本来求められる性能の基本回帰です。また耐摩耗性の強調も第2世代の特徴です。

 第3世代は2017年から、第2世代を継承するも過去2世代を括り本来の主張に立ち戻ります。カテゴリーの括りとは区分けされ、タイヤの新たな進化レベルとして存在を示すことになります。

 世代進化は好意的に捉えられ販売ボリュームにも表れています。2018年は販売店等で売られるタイヤの80.7%が低燃費タイヤだったという。(JATMA資料より)

エコタイヤ性能比較

 エコタイヤ性能比較としながらも、以下掲載するのは低燃費タイヤに限定したもの。各製品の「転がり抵抗=転がり抵抗係数」と「ウェット=ウェットグリップ性能」のグレーディングに注目します。(新製品等の新たな掲載は詳細ページが完了次第随時行います)

ブリヂストン

ヨコハマ

ダンロップ

トーヨー

ファルケン

製品名転がり抵抗ウェット
コンフォート
ZIEX ZE914FAb
スタンダード
SINCERA SN832iAb(c)

グッドイヤー

ミシュラン

製品名転がり抵抗ウェット
スポーツ
PILOT SPORT 4SA(一部)a(一部)
プレミアムコンフォート
PRIMACY 4AA(A)a(b)
コンフォート
ENERGY SAVER 4AA(A)b(c)
ENERGY SAVER+AA(A)b
SUV
PILOT SPORT 4 SUVA(一部)a(一部)
LATITUDE Sport3Ab

ピレリ

エコタイヤへの流れは一転暗黒へも‥(余談)

 2010年低燃費タイヤ導入の前後5年程かと。いや既にバブル崩壊後に始まっていたかな? それまでの豪華なバブルカーから一転し低燃費化が顕著に進み、当然ながらタイヤも沿うことに。これがスポーツタイヤにとって暗黒時代の突入です!

 当時は世界的風潮としてCO2排出量の削減が叫ばれた頃。エコ環境への取り組みにメーカー主張を強める必要がありました。自動車産業は大きな役割を持たせられ、一角に属すタイヤメーカーにも責務が課せられました。こんな事情がきっかけで出現したのがエコタイヤ、更に完了形が低燃費タイヤになります。

 エコタイヤから低燃費タイヤの普及は上述した通り。2014年には第2世代に入り普及が60%を超え一定の成果を確認しました。これでようやく呪縛から開放、スポーツが飛躍的な主張復活を遂げることに。2015年シーズンからです。フラッグシップ展開が戻り本質の追求が復活します。

 しかし従来からは変革も、そうスポーツにも低燃費タイヤの投入が実現します。必ずしも低燃費タイヤのみが高性能で素晴らしい、とは言い切れないけれど、普及が進む中、タイヤ選択の基準となっていることは間違いない。一定要件を満たすには相応の技術搭載が必要、しかも相反する性能レベルが高いほど実現は困難を極めます。その一つがスポーツタイヤだった訳です。

 これらはブロック面を広く確保し接地性を稼ぎ高いグリップ性能を得ています。その結果、加速や制動、コーナリングを高い次元で実現します。抵抗の大きさ、と言っていいだろう、低燃費とは間逆の方向です。スポーツにおける低燃費タイヤ化が果たされて来なかった理由としてここポイントになるのでは。

 2016年にヨコハマが投入した「ADVAN FLEVA V701」がようやくその殻を破りました。この意味は非常に大きい。位置付けは圧倒的グリップ性能を誇るピュアスポーツには届いていないものの、街中での快適性とスポーツ性能を底辺から支える懐の広い製品として、カテゴリー内で新たなポジションを強調します。

 流れは全体へ波及、低燃費に凝り固められた主張はカテゴリー本来の特性へ回帰、低燃費を含めたタイヤの本質、多様性を取り戻します。

 SUVタイヤへの実現も同様かと。M+Sなどの冬用性能を搭載するケースが多いのが足枷でした。従って導入開始後もスポーツ同様に実現を果たしてこなかった。しかし、2014年にミシュラン「LATITUDE Sport3」がSUVカテゴリーとしては初めて低燃費タイヤの規定を満たします。そして2015年にはトーヨー「PROXES CF2 SUV」が続きます。

 ある意味規定を満たすことで性能縮小化に割り切らなければならないのなら、意味は薄いと考えます。その結果が投入への消極性になっていたとも言えそう。ただこのところのSUV車種の人気では専用タイヤの先進性が強く求められています。ここに反応しない訳にはいきません。いろんな意味で性能両立の重要性が求められています。

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