世界ビック3の一角がグッドイヤーです。2015年に住友ゴムとのアライアンス契約および合弁事業を解消。これにより世界でのダンロップブランド使用の線引きが改められ、グッドイヤーは北米の市販及び非日系自動車メーカー向け新車用タイヤ、そして欧州での市販及び新車用タイヤの権利を保持することになりました。
また日本国内では、市販及び新車用タイヤともにグッドイヤーの権利が回復し、純粋にグッドイヤーの展開となる訳です。但し、市場の混乱を回避する為にスムーズな切れ目のない移行を目指す、としており従来ラインアップからの移行は混乱が無いように行われています。
新生グッドイヤーへの展開
ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニーは、1898年に米国オハイオ州アクロンでフランク・A・セイバリングによって創立されました。1916年には世界最大のタイヤメーカーとなります。社名のグッドイヤーは1839年ゴムの加硫法を発見したチャールズ・グッドイヤーの名に由来しています。
1951年ブリヂストンと生産、技術に関する提携を契約。同工場ではグッドイヤーブランドのタイヤ生産を開始。1979年に技術提携契約を解消。
その間の1952年日本グッドイヤーを設立。1965年F1へ初参戦しメキシコGPで初優勝。1971年ムーンタイヤを開発しアポロ14号の月面車に装着されました。1977年F1で100勝、1994年300勝、1997年360勝を達成。1998年末にF1から撤退し30年以上に渡る活動を終了しています。
1999年住友ゴムと株式の相互持ち合い、タイヤ事業におけるグローバル・アライアンスを締結。これによりダンロップの経営権を欧州と北米ではグッドイヤーが、日本では住友ゴムが主導権を握ることになりました。
両社合計で22%という世界最大の市場シェアを確保。これに伴いグッドイヤーの日本法人である日本グッドイヤーは住友ゴムの子会社となり、国内生産品は住友ゴムにより開発から生産まで行われました。
ところが2015年アライアンス契約および合弁事業を解消し、国内ではグッドイヤー100%出資の日本法人として日本グッドイヤーが復帰します。
しかし、既に触れた通り市場の混乱回避の為に早急なラインアップの変革は見送られています。徐々にという意向はその通り、最新でも従来の製品構成維持が見られます。それでもグッドイヤーが世界に誇るオールシーズンタイヤ「Vector 4Seasons Hybrid」の強化、プレミアムハイパフォーマンス「EAGLE F1 Asymmetric」シリーズ、「EfficientGrip」シリーズの投入など変革は確実に進んでいるのも事実です。
日本グッドイヤー株式会社は、本社:東京都港区赤坂。ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー(米国グッドイヤー社)は、本社:米国オハイオ州、1898年にフランク・A・セイバリングによって創立。
クーパータイヤを買収!
2021年6月、ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー(米グッドイヤー)は、2021年2月に発表したクーパー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー(クーパー)を買収。
クーパーは、1914年米オハイオ州アクロンでの起業が系統の始まりとされています。クーパーの名前は、I.J.クーパーがThe Cooper Corporationを1919年に設立したもが由来。1946年にCooper Tire&Rubber Companyに変更されました。
1960年ニューヨーク証券取引所に上場。1991年の純売上高は10億ドルを達成。1997年にイギリスのAvon Tyres Limitedを買収、2003年にアメリカのMickey Thompson Performance Tires&Wheelsを買収。
グッドイヤーにとってはビッグ3の一角ながら、上位2社(ブリヂストンとミシュラン)と縮まらないシェア争いに苛立ちも。現状打開の意味合いあると思います。

ウイングフット
グッドイヤーのロゴマーク、そうGOODとYEARの間にある羽の付いた靴について触れたい。これ「ウイングフット」と呼ばれます。
古代神話の神マーキュリーが由来、マーキュリーとは英語、ラテン語でメルクリウスと呼ぶそう。商人や旅人の守り神として知られるんだとか。で、この守り神の足元には羽があるんです。足に羽があるのは商売に縁起がいい、と考えたようです。
グッドイヤータイヤ性能比較
スポーツ
高次元のグリップ性能とハンドリング性能による操る悦びのさらなる追求をテーマに欧州で開発されたスポーツ系最高峰モデル。「ASYMMETRIC」シリーズを超えるグリップ性能で、より質の高いスポーツ走行を実現する。
高いグリップ力、ブレーキング力および優れたハンドリング性能を兼ね備える。ウェットグリップ性能が全サイズ最高グレーディング「a」。また転がり抵抗係数も20サイズで「A」。スポーツ低燃費タイヤを実現する。
注目点は進化したS-SPECコンパウンド。パターンデザインはそのままに従来のグリップ性能と高速走行での操縦安定性を高め、サーキット走行そして街乗りでの安定したハンドリングレスポンスを求めるユーザーをターゲット。
従来品「EAGLE REVSPEC RS-02」の実質後継として、スポーツタイヤのエントリーモデル(ライトスポーツ)を謳うも本質には深く拘る。もっと手軽にスポーツ走行を楽しみたいセダンやミニバンユーザーへも向けられた。
プレミアムコンフォート
耐摩耗性能向上によるロングライフ化、ドライ路面での優れた操縦安定性、ウエット路面での制動距離短縮を強調。従来品に対してレベルアップの次元が異なる。対象はセダン、ワゴン、ミニバン、軽/コンパクトカーと広範囲だがそれは少し先かな‥
先行販売する欧州では輸入車ユーザーそしてハイブリッド車ユーザーもターゲットにする。ハイブリッドテクノロジー第4世代 G4 の搭載は、転がり抵抗低減と高位なウェット性能を両立。バランス性能が最も主張を高める。
「EAGLE LS3000 HYBRID」の後継。方向性トレッドパターンを継続し、ウェット性能、操縦安定性、静粛性の向上、そして環境性能を謳うプレミアムモデル。快適性や運動性能に対する期待はそれなりに大きい。
コンフォート
「EfficientGrip Comfort」、略名として「E-Grip Comfort」。従来品「EAGLE LS EXE」の後継に位置付けるもブランドそのものを「EAGLE」から「E-Grip」へ転化、コンフォートの新たな追及を図るのが狙い。果たしてその結果は‥
ツーリング エコを謳う低燃費タイヤ。左右非対称パターン、e-Hybridコンパウンド の採用、シャープなハンドリング性能、進化した転がり性能、コンフォート性能、そしてライフ性能(耐磨耗性)を実現し走りへの拘りをも示す。
ミニバン
「EfficientGrip RVF02」はミニバン特有の車高が高いことで発生するふらつきを軽減、静粛性の改善も実現。ブランドは「EAGLE」シリーズと決別し「EfficientGrip」へ転化、ミニバンも取り入れシリーズの更なる強化を図る。
スタンダード
新開発のコンパウンドを採用、高次元の低燃費性能とロングライフ性能を強調。従来品比較では残溝1.6mmまでの推定走行距離が8%の向上。転がり抵抗テストも3%の低減うを実現する。転がり抵抗係数が全42サイズ中32サイズで「AA」を実現する。
SUV
プレミアムスポーツ「EAGLE F1 ASYMMETRIC 3」をベースにラグジュアリーSUV向けに最適化したウルトラハイパフォーマンス。これにより同社SUVラインアップの最高位に指名。近年のSUV市場の拡大に合わせラインアップを拡充。
SUV向けハイパフォーマンスコンフォートが進化。従来品は「EfficientGrip Performance SUV」。そこから優れたウェット性能と耐摩耗性能の実現をテーマに、欧州グッドイヤーで開発された。名称が長いので略称「E-GRIP 2 SUV」とも。
従来品「WRANGLER HP」に比較して転がり抵抗を15%低減。更にはパターンノイズ38.3%、ロードノイズ12.9%、ロングライフ性能42%、ウェットブレーキ性能6%向上など進化レベルは大きい。幅広いSUVユーザーがターゲット。
4×4
グッドイヤーの主張はオン・オフを問わず、アクティブに活動するユーザーに向けた4X4に最適なタイヤだという。見た目かなりワイルド、でも実際の括りはA/T(All Terrain)= オン・オフ対応のオールラウンドになる。
近頃流行り?のSUVに緩いオフロードタイヤを装着する、街中で見た目重視の要求にバッチリ応えられる。としつつもオンロードで快適性や静粛性を発揮、オフロードでは走破性を高めるなど性能両立を追求。
幅広の2本の縦溝が特徴。排水性をより向上させる効果、オフロードでの排泥性、トラクション効果も大いに期待できそう。オンロード用の「WRANGLER HP」に準ずる快適性と高度なハンドリングも謳われている。