過去、ファルケンの国内展開は危機さえ感じるほどでした。ある意味放置プレイが長く続きとっても寂しい状況に‥ もしかしてブランド消滅と思わせるほどでした。事態が一転したのは2015年夏頃から、ファルケンに対する強化が動き始めました。
現在、ファルケンを製造販売するのは住友ゴムです。2003年オーツタイヤ(ファルケンはブランド名)を吸収合併し、2005年ダンロップファルケンタイヤを設立も2010年に統合。ファルケンは、ダンロップ、そして当時のグッドイヤーとともにブランドのひとつとして国内展開されることになりました。
ファルケンの歴史
オーツタイヤは1944年に大日本航空機タイヤとして設立。1945年大津ゴム工業に改称しクルマ用タイヤ生産に転換。1962年オーツタイヤに改称。本社所在地は大阪府泉大津市、オーツはこの泉大津市に由来するものだという。
そして現在も残るブランド名ファルケンは1983年に登場。しかし、厳しいシェア競争の末、住友ゴムへの吸収合併に向かいます。
その後、住友ゴムの海外強化策によって国内では非常に厳しい、というか寂しい時期を迎えます。一時は3銘柄まで縮小、どうしたファルケン? と思ったのは私だけではないはず。
そこに訪れたのが、住友ゴムと米グッドイヤーとのタイヤ事業におけるアライアンスの解消です。15年に渡る提携関係が終了。それまで住友ゴムは、ダンロップが使用出来ない地域でファルケン等を展開して来ました。当然グッドイヤー主導のダンロップとは競合することになり摩擦も起きる。このあたりが提携解消の理由付けになったのでは。
好機到来からまた‥
ファルケンにとってこの状況は悪くない、いや足枷が外されたことになり好機到来。住友ゴムはファルケン強化へ向かいます。世界販売本数を2020年に当時として2倍の4千万本へ、住友ゴムのタイヤ構成比率で3割になるという計画を公表。明らかに米グッドイヤーとの提携解消によるものです。ファルケンの自由度を最大限活用し、欧米、そして中国などでの販売体制を拡大させます。
当時ブランド露出策は直ぐに具体化され、ドイツのプロサッカーリーグ・ブンデスリーガ1部のFCインゴルシュタット04とプレミアムスポンサーシップ契約を締結。またRed Bull Air Raceでオフィシャルパートナーを務めたり、FALKEN Cafe Aoyamaをオープンするという目立った動きもその直前から活発化させました。
国内展開も活気を取り戻します。グローバル製品だけれど多くを取り込み全体のボリュームアップを図ります。その中でも「ZIEX」が柱となりラインアップ復活を果たします。ただオーツ由来の雰囲気が薄らいでしまった点には残念さがあったかな‥
新たなファルケン重視の展開はお洒落で洗練された、欧州をイメージさせる雰囲気のもの。泥臭くドリフトのD1なら悪くないけれど、CAFEには繋がらないっす。強化でもダンロップありきの展開は変わらない。
スパルタンさを強烈に印象付けたかつてのファルケン、それはいまダンロップ「DIREZZA」へ傾倒しており重複はプラスにならない。しかし最新は「AZENIS」の複数展開を実現、特にドライグリップ重視へ向かう「AZENIS RT615K+」はその重複に敢えて臨み競合さえも。この現状、ユーザー視点からは歓迎です。
ところが2024年シーズンは、市場で一定評価を得ていた「ZIEX ZE914F」と、「SINCERA SN832i」が完全フェードアウトになりました。国内市場の寂しさがまた再現されてしまいそうで残念です。
住友ゴム
社名は住友ゴム工業株式会社、本社所在地:兵庫県神戸市・東京本社:東京都江東区、創業は1909年。2022年世界シェアは5位(3.8%)、国内ではブリヂストンに次いで2位です。
ファルケンタイヤ性能比較
スポーツ
旧オーツタイヤ(2003年住友ゴムに吸収合併)のブランドがファルケン、そのスポーツカテゴリーとして存在したのが「AZENIS(アゼニス)」シリーズです。
AZENISは、時代の「AGE」と頂点の「ZENIS」を合わせた造語。時代の頂点をめざすための力を意味します。特に「RT615」シリーズからはスポーツ走行やスポーツカスタマイズを志向する若年層をターゲットに、ストリートからサーキットまで様々なステージでの走行を想定し開発されました。
「AZENIS」の基礎を築いたのが2000年前後だったかと・・ そしてファルケンへ移行後の2005年「AZENIS RT615」が登場。スポーツ走行やスポーツカスタマイズを志向する若年層をターゲットに、ストリートからサーキットまで様々なステージでの走行を想定し開発されました。
これをベースにドライグリップへ傾倒、闘えるタイヤとして誕生したのが「AZENIS RT615K」です。実は北米からの出戻り。「K」は北米向けのタイヤだったんです。それが国内へ逆輸入形態で導入。確か2014年だったような・・
プレミアムスポーツも展開。2023年には「AZENIS FK510」の後継となる「AZENIS FK520L」を投入。プレミアムスポーツとして評判がいい! コストパフォーマンスに優れる評価です。
「AZENIS FK510」の後継。一部で転がり抵抗係数「A」、ウェットグリップ性能は全サイズで「a」を実現。「A/a」は低燃費タイヤとして従来品から大きな進化。シリーズ共通となるグローバルで評価の高さを訴える。
「AZENIS FK510」は新世代のフラッグシップを謳う。実質「AZENIS FK453」の後継として、サーキットから街中まで現代のハイパフォーマンスカーの足元を支える力強さを強調する。ハイレベルな技術特性は大注目。
従来品「AZENIS RT615K」の進化となる製品。+(プラス)進化はコンパウンド。相反するグリップ性能と耐摩耗性能の2つをバランスよく向上させ、サーキットでの連続タイムアタックでも安定したLAPタイム向上が主張点。
コンフォート
コンパウンドの進化によってウェットブレーキ性能「c」から、「a」もしくは「b」へ向上。新シリカ用変性ポリマー をトレッド部に採用、不要な発熱を抑え転がり抵抗を低減。ウェット性能を最大限に発揮させる。
スタンダード
転がり抵抗係数「A」、ウェットグリップ性能「b」もしくは「c」のグレーディング。これにより従来よりも転がり抵抗を14%低減し、ウェットブレーキング性能も13%の向上を果たす。ハイドロプレーニングも7%の向上だ。
SUV
新世代フラッグシップを謳う「AZENIS FK510」シリーズ、SUV専用として登場したのが「AZENIS FK510 SUV」。大型ボディーを足元から支える信頼性、そして極上の快適性を強固に訴える。シリーズ認知は拡大、従来踏襲の上で更なる向上を。
従来品「ZIEX S/TZ04」から高速走行時のハンドリング性能を向上、ウェットグリップと静粛性を確立。更にパターンデザインをより繊細化しSUV/ピックアップトラックのドレスアップ対応を強調。その為に最新サイズは24インチから設定される。
4×4
ライフとウェットの性能両立。スタッドレスの3Dサイプ技術を応用、ドライのハンドリングとウェットでの優れたエッジ効果を発揮。その結果Jeepブランドのピックアップトラック「Gladiator」の標準装着タイヤに採用。
北米で注目される「WILDPEAK」シリーズのM/Tを国内導入。特性はマッド、ダート、ロックなどの険しいオフロードで優れたトラクションを発揮、タフで力強い走破性を実現すること。Jeepにオプションとして純正採用。