アジアンタイヤ、その価格の安さは性能以外で特性にもなります。スタッドレスも同様の捉え方が可能。既存の走行環境ならこの性能レベルで十分という判断にプラスして、価格の安さが購入の決め手というケースが見られます。
国内市場はアジアンメーカーにとって非常に魅力的。これに反応すれば夏タイヤ同様のニーズを期待したい。その結果、近年はラインアップの充実が進みます。ただ性能に対する評価はピンキリ、期待を抱くケースがある一方で残念と捉える人も居る。
一部メーカーでは、日本の雪質を理解すべく北海道を拠点に開発テストを敢行。雪国での日常的使用を想定したヘビーユーザーから都会派ユーザーまで幅広く対応し、日本専用設計を謳うなど製品レベルの向上を強く印象付けています。
国内導入に際して、懸案となることが多いサイズ設定もフォロー範囲が拡大しています。装着したくてもサイズが無い、というこれまでの残念さは解消されつつありそう。これがピンかな。
対してキリは、特にアイス路での対応性に厳しい見方がある。国内の冬環境にそぐわないケースです。なら非降雪地域の使用で価値を見出すことはどうだろう?
アジアンスタッドレスタイヤの製品特性を理解する
アジアンスタッドレスタイヤの性能差は大きい。特にアイス性能は最も到達レベルに差があります。更にメジャーメーカーと比較したら、もうこれ厳しい評価が見られるのは当然かと。トーンダウンはショウガナイ‥
アジアンスタッドレスタイヤの製品特性を理解する為には、まずなぜ日本や欧米のメジャーメーカーと性格が違うのか、という背景から見ていく必要があります。
スタッドレスは、雪質や気候条件、道路整備の状況によって求められる性能が大きく異なります。アジアンタイヤのスタッドレスは、主に韓国、中国、台湾などで開発されており、使用環境は日本のように湿雪が多くアイスバーンが日常的に現れる地域よりも、比較的ドライ路面が多く積雪も乾いた雪が主体となる地域を想定しています。
その為に、製品特性の重点がメジャーメーカーと異なり、これがユーザーの評価や実際の使い勝手に直結しています。
最も大きな違いはコンパウンドの配合です。メジャーメーカーはアイス性能を重視し、極低温でも柔軟性を保つシリカや吸水性コンパウンドを多用して、アイスバーンでの摩擦を確保しています。
これに対してアジアンタイヤメーカーの多くは低コストでの製造を意識し、コンパウンドの柔らかさを一定程度確保しつつも、そこまで高度な吸水技術は導入していない場合が多いかと。
その為に新雪や圧雪路面では十分なグリップを発揮するものの、アイスバーンでの制動性能や横滑り抑制力ではメジャーに比べると劣る傾向があります。
トレッドパターンも特徴的です。アジアンスタッドレスはブロックを大きく取り、直線的で深い溝を設けることで雪をかき出す雪路性能を重視する設計が多い。
これは深雪や未圧雪路での走破性を高める効果ありますが、細かいサイプを複雑に刻んで氷の表面に噛み込むように作られたメジャー製に比べると、氷結路面での密着力が不足します。つまり、雪路の走破力には強い一方で、アイス路の安心感では課題が残るという特性を持っています。
耐久性やコスト面も無視出来ません。アジアンタイヤメーカーは比較的硬めのベースゴムを用いることが多い為、摩耗寿命は長く、価格設定もメジャーのスタッドレスに比べて抑えられています。
これが都市部で積雪が少なく、年に数回しか雪道を走らないドライバーにとってはコストパフォーマンスが高いと評価される場合があります。一方で、毎日のように厳しい冬道を走る地域では、安全性能に直結する差が顕著に現れるのでやや不安が残ります。
アジアンスタッドレスタイヤは、雪が主体で氷の少ない地域、あるいはドライ路面が多くコストを抑えたいユーザーに向いた特性を持っています。逆に日本の豪雪地帯や北海道のようにブラックアイスが頻発する地域では、メジャーのスタッドレスに比べると性能面で不利になります。
氷に強いではなく、雪に強く価格も手頃というのがアジアンスタッドレスタイヤの基本的な製品特性と理解するのが分かりやすいでしょう。
しかしながら、その域を超えている製品も間違いなく登場しています。NANKANGが強調する「AW-1」は正にその筆頭になるかと。
各メーカーの施策!
ザックリながら話題のメーカーをピックアップし、ラインアップされる製品概要に触れようかと。
スタッドレスの中で特に注目を集めるのは、やはりNANKANG「AW-1」です。従来モデルでもすでに氷雪路での効きについて高い評価を得ていましたが、新たなコンパウンドを採用することで、高速走行時や車線変更といった挙動における安定性がさらに引き上げられています。
パターンデザイン自体は前モデルを踏襲しているため、見た目上の変化は控えめながら、実際のドライビングフィールにおける差異が体感出来るという、技術進化の裏打ちされた深化が印象的です。
冬道性能に関しては既に一定の信頼を得ているため、このブラッシュアップは実使用において確かな安心感をもたらすものと期待されます。
HIFLYは、3シーズン目を迎えた「Win-turi 216」が引き続き注目されています。緻密なサイプ配列を特徴とするトレッドデザインは、氷雪性能と耐摩耗性のバランスを追求したものであり、投入当初の新鮮味から次第に信頼性へと移行していく段階にあります。
ZEETEXは復活を果たし、「WP2000」シリーズの「WP2000」「WP2000 SUV」、「WH2000」シリーズの「WH2000」「WH2000 SUV」の4製品です。性能別評価項目では「WP2000」シリーズがワンランク上の表示。そう氷雪性能について10段階の9、対して「WH2000」シリーズは10段階の8です。またドライ、ウェットなども1程度上回る指針です。
DAVANTI は、「WINTOURA」シリーズとしてコンパクトカー向け「WINTOURA」、ハイパフォーマンスカー向け「WINTOURA+」、そしてSUV向け「WINTOURA SUV」がラインアップされます。「WINTOURA+」はDAVANTIのウィンタータイヤの中でも欧州を主戦場にした「プラス性能版」という位置付けを持っています。
RADARは「Dimax ICE」を投入。アジアンスタッドレスの弱点を少しずつ克服しつつ、低価格を武器にユーザー層を拡大してきた背景があります。それは、単なる廉価品ではなく冬タイヤとして最低限安心できる水準を意識し、近年のアジアンタイヤのスタッドレス進化を象徴する存在になっています。
MAXTREKはより鮮明な進化を示しています。従来の「TREK M7」から「TREK M7 Plus」へと進化し、コンパウンドやパターンを含め大幅に刷新された結果、特に氷雪路でのパフォーマンス強化が期待されています。この変化は単なるモデルチェンジではなく、ブランド全体の技術的成熟を示すものとして大きな意味を持っています。
アジアンスタッドレスタイヤ性能比較
NANKANG
乗用車用
2024年8月改良版を投入。氷雪性能は従来を踏襲、向上効果を強調するのはドライ路面。接地面の最適化を図り高速走行時、車線変更時のスタビリティを改善。スタッドレス特有の柔らかさが軽減され、乗り心地の向上も示す。
アシメトリック(左右非対称)デザイン採用により、冬のあらゆる路面環境において安定、信頼性能を謳う。従来品に比べより先進技術を強調し高性能を訴える。一時代を築いたNANKANGの自信作でもある。
HIFLY
乗用車用
HIFLYが誇る最新スタッドレスタイヤ。「Win-turi 212」に比較しより繊細化。トレッドデザインの最新化、刻まれるサイプは緻密な配列、横溝の角度を最適化し路面の引っ掻きを効果を発揮。雪道でのトラクション性能へ繋げる。
「Win-turi 212」への期待は雪路性能では。トレッドデザインに頼る特性でも一定レベルまで期待したい。比較的アジアンスタッドレスでもこの点は評価を得ているところ。あとは価格の安さに対する妥協か。
ZEETEX
乗用車用
「WP2000」シリーズとなる「WP2000」「WP2000 SUV」は、乗用車用とSUV用。双方ともトレッドデザインは同じだという。左右対称を採用しサイプ密度を高め氷雪路におけるトラクション向上を謳う。
左右非対称パターンを採用し、高い走行安定性とロングライフ性能を両立。メインのストレートグルーブは3本配置し、ウェットの排水性を高め制動性を向上。コンパウンドは、氷雪路においてコントロールのレベルアップに貢献する。
SUV/4×4専用
「WP2000」シリーズとなる「WP2000」「WP2000 SUV」は、乗用車用とSUV用。双方ともトレッドデザインは同じだという。乗用車ベースのSUV、いわゆるCUVへの汎用性を示した結果では。CUVはベースを乗用車とするもの多数。
「WH2000」シリーズ、従来を踏襲しつつもパターンデザインは全くの別物。雪上のトラクションとブレーキ性能を向上、安定した走行を可能にするという。そのSUV専用が「WH2000 SUV」。
DAVANTI
乗用車用
ハイパフォーマンスカー向けを謳うのはシリーズ最上位の性能を有している証かと。従って「WINTOURA+」の評価そのものがシリーズ全体を牽引することになりそう。本質が大いに気になるところ。
コンパクトカー向け「WINTOURA」のパターンは方向性のある左右対象を採用。特有の偏摩耗や片減りへの対応性を高めることで走行安定性、乗り心地や低燃費にも配慮している。車種特性に最適化された専用にアドバンテージを示す。
SUV/4×4専用
「WINTOURA」シリーズのSUV専用。トレッドデザインは方向性のある左右対称パターンを採用。トレッド中央部に縦溝を刻まないデザイン、均等摩耗を実現しライフ性能向上。サイドウォールは剛性を高め重要ボディーを支える。
MOMO
乗用車用
「NORTH POLE W-1」がスタンダードにポジショニングされるのに対して、「NORTH POLE W-2」は左右非対称パターンによる効果を謳い上位モデルとしてターゲット層をよりプレミアム車種へ向ける。
RADAR
乗用車用
近年日本や北欧を含む寒冷地市場において注目を集める。単なる廉価品ではなく冬タイヤとして最低限安心できる水準を意識し、近年のアジアンタイヤのスタッドレス進化を象徴する存在。注目するのは左右対称のパターンデザイン。
MAXTREK
乗用車用
従来品「TREK M7」に対し一新した様相。氷雪路でハンドリングとトラクションを向上し安定した走行が可能。新開発の左右非対称パターンは、柔軟さを獲得し氷雪路におけるパフォーマンスがアップ。
「TREK M7」は天然ゴムとシリカの混合比を調整した専用ゴムを採用し、細密なラグパターンは雪道での安定性を図るように設計され、横滑りの防止や高いグリップを発揮するという。乗用車用とSUV用を兼ね備える。
サイズから比較(サイズ検索)
アジアンスタッドレスタイヤをサイズから比較します。21 ~ 12インチまでを設定した中で、サイズによる検索を可能にしました。銘柄やメーカー展開は正直難しい、また迷いがあるしどうしよう?
でもサイズ検索なら横断で比較が出来るので便利! 価格比較も実現します。安さの程度が把握出来る、ということです。なお検索されるのは オートウェイ で取り扱う製品です。
スタッドレスタイヤの様々な知識
スタッドレスタイヤに関連する知識、情報をもっとよ~く知って欲しい! 例えば製品購入に関して最新モデルor旧モデルどっちがいい? 最近よく謳われる日本専用設計ってどうよ? 首都圏など非降雪地域でも推奨されているけれど意味ある? また積雪時の運転を安全に行うにはどうれすばいいかな? など重要な情報や知識を独自の観点から示します。
製品情報が最大興味、同時にこれらも是非理解して欲しい。かなり重要なポイントを押さえたつもりです。