≫ NANKANG FT-9 リアルレポート 第2回 更新!

アジアンタイヤとは? 基本理解を深める

 タイヤはクルマのパーツの中で非常に重要なもの。しかし、皆黒くて丸いゴムの塊だし、重要性を見出すのは意外と難しい。アジアンタイヤだって同様です。なら国内外メジャー製品とはいったい何が違う?

 ということで、ここではそのガイダンスとして、基本理解を深める為の内容をまとめてみました。

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アジアンタイヤとはそもそも何?

 日本市場で一定層に認知されたのが、台湾、インドネシア、中国、韓国などの新興国メーカーが製造するタイヤです。これらは一般に「アジアンタイヤ」の総称(括り)で呼ばれています。

 世界的なタイヤ市場シェアは、ブリヂストン、ミシュラン、グッドイヤーのビック3合計でかつては50%以上ありました。ところが現在は40%程度まで下落するなど市場構造に変化が起こっています。

 代わって台頭したのがアジアンタイヤだと言われています。最大の特徴は安価であること。メジャー製品に比較し半額、いや黎明期には1/4とも謳っていました。メジャー製品が1本20,000円ならアジアンタイヤは5,000円で買えてしまう。それ以下3,000円、2,000円台などこれまで見たことの無い価格設定も。

 安価な価格設定を実現する要因のひとつがインターネットを活用した販売手法です。最近ではメジャー製品へも波及し完全に浸透しています。様々な可能性を持たせるインターネットの普及がタイヤ購入へも向けられた結果です。

 ただ当初からインターネット購入が全てウェルカムで受け入れられた訳ではありません。タイヤは安全性に起因する重要なパーツ、リアルショップでキッチリ説明を受け購入しましょ、というある意味インターネットネットへ危機感を持った対抗策を発したショップなどもあったかと。

 しかし、加速する進化に対抗することは難しい。それまで紙カタログとショップ店員から得た情報は、インターネット上に溢れる情報でまかない切れる程になったのです。メーカーの取り組みもこれを後押し? 一部ながらメーカー直販サイトを持つなどメーカー自らがインターネット販売への枠組みを構築しています。

モータスポーツドリフトで火が付く!

 アジアンタイヤの価格の安さはドリフトユーザーの目に留まり、専門誌に取り上げられたことで興味を得ることに。ドリフトはその走行特性からタイヤの消耗は避けられません。これを使用することは財布に優しい、として今やドリフトの定番です。

 モータースポーツとして、2017年には国際自動車連盟(FIA)公認にもなりました。タイヤを滑らせ白煙をあげながら豪快に車をスライドさせる。その様を間近かで見ると迫力に圧倒されます。

 これまでは一部での人気止まりでした。しかし、プロドリフトD1が開催されるとその人気に火が付き、今では世界的なビックイベントに成長しています。この影響で底辺の拡大が少しずつ進んでいます。車を造り休日に友人たちと走行を楽しむ姿は自然な形のモータースポーツを見るよう。車好きに取って好感が持てます。

 このドリフト、初心者にはフロントにグリップ性能の高いものを、リヤにはややグリップ性能の低いものを装着することで、滑り出すきっかけが作りやすくドリフトさせやすいよう。そしてうまくなるには練習が一番です。

 しかし、それには金が掛かります。なにしろタイヤを豪快に滑らせることがその基本ですので、消耗は半端じゃありません。1日の走行で使用出来なくなってしまうことなど珍しいことではありません。

 優しく使っても2、3回が限界かと。激しい走行はブロックの削れやトレッド面の摩耗など、これはまだ序の口。トレッド面が剥がれベルトがむき出しになるほどの状態にまで、これで終了。

 一般的な車のタイヤは3~4年が限界の目安、また3万Kmを越えた時点でその性能が極端に落ちると言われています。まぁ、使い方によってはそれ以上のライフ期待出来ますが。これに比較すると何とも勿体無い使い方。しかも毎回だし相当な負担になりますね。

 考えられたのがスクラップ業者や中古ショップから購入すること。またサーキットの一般的な走行後の廃タイヤを譲ってもらうなどの方法です。但し銘柄もサイズも統一性が難しく、練習毎にアプローチが変わってしまうという難点があるんです。条件を合わせることが望まれます。

 そこで注目されたのがアジアンタイヤ。価格的な安さ最大だし、また一般的ならリヤに装着するややグリップ性能の低いものと近い特性であること。そして何といっても新品です。これが瞬く間に広がって行きました。その結果、アジアンタイヤは定番、と言われるまでになったのです。

 そこから街中走行でも行ける! という風潮が強まり一般ユーザーの普及に繋がっています。ドリフトユーザーという特別な枠を超えた現在、その動きは一層進みます。

 2016年頃からD1のタイヤには変化が。一般市販用が装着の条件であった従来から、いわゆるSタイヤにも準ずる性能へ向かっています。これにはアジアンタイヤの絡みが大きく影響しています。2017年からは規定によって装着銘柄が限定され、いずれもSタイヤ並みが溢れています。そして今はこうなっちゃいました! 詳しくは以下のリンクから。

プロドリフトD1のタイヤって今はこうなっちゃいました!
 D1が最も盛り上がったのは2009年前後だったかと。タイヤは市販のストリート用、愛車に装着し一般道からサーキットまでフォローする…

世界的な金融危機で加速!

 アジアンタイヤが黎明期を経て普及への道筋を辿るのに、切っ掛けとなったのは金融危機(リーマンショック)です。2008年9月、大手投資会社リーマン・ブラザーズが経営破たんしたことで起きました。経済危機は米国市場のみならず、世界市場が混乱に陥り株価が急落しました。

 この問題から米ドルが極端に売られ、代わりに買われたのが財政が安定していた日本円。1ドル104円で取引されていた為替レートが、2008年12月には87円まで円が買われ、急激な円高にシフトしました。

 これにより日本の輸出産業は大打撃を受け、リーマンショックに直接関係していないにもかかわらず日本市場も大暴落。株価低迷から脱することが中々出来ず。そして2011年には東日本大震災が発生し日本経済は更なる打撃を受ることになります。

 この期間、冷え切った国内市場での共通性はより安く、だったのでは。それこそ1円でも安く購入したい雰囲気が、あらゆる場で求められていったかと。

 そしてアジアンタイヤが注目を得ることに。安さを求める社会情勢に乗った、同時にインターネットは飛躍的に普及し環境整備が更に進みます。一時の避難的意向もあったかと。景気が戻ればこれまでの一般的なタイヤ事情へ戻るかはず。しかし、使ってみるとそこそこだし、これでもいい! の層が拡大。こうしてアジアンタイヤの普及が進むことになります。

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アジアンタイヤの国内シェアを予測してみる

 世界的にはビック3が市場を席巻。一方日本におけるタイヤ市場は、国内メーカー4社(ブリヂストン、ヨコハマ、住友ゴム、トーヨー)で80%以上のシェアを得ています。では残りがアジアンタイヤになるのか、と言えばそうではない。海外メジャーもあるし、その他ゴム関連としての括りも含まれます。実は明確な数値を見出すのは難しい。

 それでも貴重な数値を示すと2008年まで遡ります。約5~6%がそれ。これ以降、明確な数値を確認する事ができません。仕方ない、色んなところから参考になりそうな数値を引っ張ってきます。

 まずJATMA(一般社団法人日本自動車タイヤ協会)が公表した2018年の国内実績、乗用車の夏冬タイヤの合計本数が約5,200万本です。これを大きな括りにしましょう。

 そしてNANKANG、2016年は夏冬タイヤ合わせて60万本だったという。ザックリだけれどシェアは約1.1%になります。またNEXENが日本法人となるNEXENタイヤジャパン設立に際して公表した、2017の国内販売数は約33万本でシェア約0.6%。またKENDAは2020年までに年間50万本を目指したい‥ というから実現したら約1.0%かな。

 年代は揃わず、しかも実績や目標など条件統一されませんが諸々考慮、すると最初に挙げた約5~6%は見えています。そして最新は約7~8%、いや10%に近い数値になっているのでは、と順調な拡大を描いてみました。

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アジアンタイヤの今後の動向から新たな発想

 アジアンタイヤは世界的な金融危機(リーマンショック)以降、価格の安さが注目され右肩上がりの状況に。その勢い今も続いているかと言えば、ん‥かな。実は新たな販売ルートも静かに幕を閉じている現状もあり、市場は既に横ばいにも思えます。

 2020年には国内タイヤ市場そのものが頭打ち、とも言われました。結局決められたパイを取り合う構図になる訳で、国内外メジャーメーカーの巻き返しは更に強まるはず。その時、価格のみ重視する見方は一定の限界を迎えることになるかもしれません。

 そこで展開は更なる可能性を見出すことが必要。異なる価値観、と言い換えましょう。で、こんな発想をしてみました。

 トレッドパターンを追及すると、カテゴリー毎にある程度の共通性を示します。特にパターンデザインに傾倒し性能レベルを高めるアジアンタイヤは、その割合がより増しています。

 高位の性能を目指すなら既に実現された既存パターンを取り入れるのが確実です。アジアンタイヤの多くはメジャーメーカーの影響下にあったことから、その流れを感じさせるものは多い。(特許の問題もあり侵害するのは駄目)

 ただそれだけでは独自性を示すことに難しさがあります。そこで注目されるのは素材です。素材とは外部構造となるコンパウンド(ゴム)や内部のベルト、カーカス‥などありますが、ここではコンパウンドへ拘ってみましょう。

 現在、一定規模まで普及した低燃費タイヤは正にこれです。パターンは従来から僅かな進化に留まるも、素材が飛躍的向上を果たしたことで性能レベルの高度化を実現しています。またスタッドレスタイヤにおいても近年のアイス性能、低燃費、寿命の向上はこの効果によるものです。

 対してアジアンタイヤはどうよ? 正直この成長が加速しません。なぜ? そう価格への影響と技術レベルの問題です。技術はある意味今後への期待とし(実はこちらが大きいかも)、残る課題は価格でしょ。素材を高度化し新たな採用となれば価格への転嫁は免れません。でも性能と価格の関係が従来の枠を超えた現在、低価格のニーズは一定規模で続くでしょう。

 そこで価格1割増し、性能3割増しの発想です。高度な素材技術を1割増しで導入、その結果として3割増しの性能向上を実現する。ザックリながらアジアンタイヤとメジャーでは2世代、いやモノにより3世代の格差を感じます。この差を僅かでも(理想は1世代)縮めたい、しかも1割増しで。1本5,000円なら5,500円です。

 価格2割増しでは魅力が薄れ、3割増しならメジャーへ流れてしまう可能性大きくなるでしょう。だから1割増しです。少し飛躍し過ぎかな。

アジアンタイヤは大丈夫? という疑念にはこう示す

 アジアンタイヤと私の最初の接点は今から15年位前かな。友人の所有するクルマに装着されていたNANKANGだったと記憶しています。友人はインチアップされたタイヤを見て誇らしげ、しかし当時NANKANG、しかも台湾製など全く理解出来ていない私にとっては何で? という不思議な空気が流れました。

 そして大丈夫なの? という疑念を持たずにはいられませんでした。タイヤという工業製品への絶対的信頼性は国産であるのが常識、という全くもって日本人そのものの感覚しか持ち合わせていなかったので受け入れられなかったのです。

 黎明期ならこんな話はいくらでもあったかな。ところがアジアンタイヤを直に感じた人は少数、多くは噂や囁きを自身の意見として自信満々で説いていたかと。黎明期から中期、そして現在でも同様の見解は残っています。

 こんな時、必ず対比で高性能と示されるのはミシュランが多い。それもプレミアムスポーツなどですから、そりゃどう見ても比較がオカシイでしょ。国内メーカーも同様に推奨されるも、今度はミニバン専用とスポーツだったり比較の統一性が全くありません。

 結局、タイヤの選択は相応の価格を持ってして決めるべきとなる。まぁ、高性能=高価なのは間違いありません。しかしながら、黎明期から相応以上の経過によってその考えはいろんな方向に分散されています。

 全ての人がプレミアムスポーツで完璧な走行を望む訳ではない。街中でそこそこの走りに耐えられるのなら十分、という層が居るのも見逃せない。ここに安心安全なら高価なプレミアムだよ、と言ってもどうだろう。私なら金が無いっす、となる。

それでもメジャー製品なら‥

 ここまでウダウダ書いて多くがアジアンタイヤへ向いたような錯覚になるけれど、それは違う。飽くまでも極一部の存在が多少見える程度に膨らんだ、ということ。国内の市場全体シェアからすると7~8%、いや10%にも期待を持たせていますけどね‥

 一方で人生の先輩方ほどアジア製のタイヤなんて、という全く持って理解を示されない現実もあるかと。そもそもアジアンタイヤって何? というレベル。台湾・韓国・中国・インドネシアなどでタイヤ製造してることがピンと来ない。そして彼らの決まった台詞は タイヤは重要だから‥

 キッチリ調べた訳ではないけれど、アジアンタイヤの年齢別使用状況は、人生の先輩方になればその数は萎んでいく。他方30~40代あたりが山かな。

 アジアンタイヤの信頼性や興味、押し付けではなかなか受け入れることは難しい。実際、性能をメジャー製品とまったく同じ土俵で評価されたら劣るでしょう。やはりコストパフォーマンスという点を最大限考慮した上で、実情の理解から受け入れられることが評価を高めることに繋がると考えます。

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