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第8回 AW-1 の特性を全項目に渡り示す。本質の理解へ!

 新たなスタッドレスタイヤ、NANKANG「AW-1」に対する特性、本質を探るために雪深い山間部へ出掛けること数回。ベストな走行環境で感じたのは雪路性能の高さです。パフォーマンスを遺憾なく発揮、安定性を確証しました。

 また街中とは異なる非常に厳しいアイス路は更なる興味です。雪路同様納得の走りが出来たのか? などメイン性能にプラスしその他の性能も都度詳細にレポートして来ました。ただ拘り過ぎた為に少しばかりコンテンツが膨らみ、全部読むにはそれなりの時間を要します。

 そこでこれまで体感した各性能を項目毎に要点をまとめ示しましょ。このページだけでも「AW-1」の全体像をザックリながら把握可能にしました。

特性を全項目に渡り示す

雪路での安定性は標準以上を確保

 スタッドレスタイヤの2大性能は雪路とアイス路での効きでしょう。ということで雪路性能からいきなりの本質へ。

 速度30km/hからフルブレーキ、するとガッガッガッガッガッ‥ もう一度、ガッガッガッガッガッ、ABSが作動するもシッカリ止まる! 雪を掴みブレーキを効かせる機能は悪くないっす。

 次は横の挙動。やはり30km/hからノーブレーキで転回。フロントがズリズリ流れるようなことはなくステアリングを切った分だけ曲がるイメージ。ただ若干ながらリアの振れるような違和感が気になります。微妙な感触ですけどね。

 完全圧雪に轍も出来るほどの深雪(30~40cmの積雪量)ではどうよ? 3~4速、制限速度限界まで上げてみる。するとコーナーでもフロントは切り込んでグイグイ行く、しかしリアが流れ時折振られます。おつりが来るほどじゃないけれどバランスが崩れるのかな。

 総じて圧雪が完全化している状態ほど雪中せん断力のパフォーマンスを発揮しやすい。食いつきが更に一段階高まるのを実感、効く感触を確実に得られます。また更なる深雪でも走破性には不安無し。但し、状況によって安定性が崩れる時もあります。30~40cmはもう深雪ですからショウガナイかも。

アイス性能はシビアに評価したので判断分かれる

 スタッドレスタイヤとしての本質を探るならやはりアイス性能でしょう。今回のレポートで「AW-1」に対し、「街中」と「スキー場へ続く山間部の峠」の2か所で評価しました。

 結果としてパフォーマンスに差異を感じました。また従来の「ESSN-1」から劇的に向上した、とは強く言い切れず。逆に言えば「ESSN-1」で既に相応のパフォーマンスを備えていたかと。

 たまたまでしょう。信号待ちで停車したその場、側道の方へ傾斜がきつくしかも補修跡があり凹凸に。発進すると側道側へズリズリと滑る。凹凸と傾斜とアイス路の組み合わせであれれ?が起きた。当然乗り越え直進キープで行くものと思っていたばかりに少し動揺。

 また登坂でのアイス路はグイグイというレベルにあるかも微妙。上らない、という気配はないけれど今少しの向上を期待していたので‥

 という厳しい見方をしたものの、一方で街中の激しい渋滞の中、低速でそろりそろりでは全く不安なし。ブレーキングやコーナーリングの気遣いも最小レベルです。登坂での停止から再発進もズリズリは無く、ブロックのエッジ効果が発揮出来たかと。

 常識的な気遣いと安全性を意識した走行で性能への懸念を意識するシーンは皆無です。従って街中におけるアイス路では十分耐えられる、という判断に。

最強アイス路へ挑むと難しい‥

 街中とは異なる峠、しかも日が落ちた夕方から夜にかけて、気温はマイナスを大きくし下回る環境でも試しました。

 峠は下りメインです。路面は全面アイスとはいかないけれど7:3で雪路よりアイス路が優る状況。速度は30km/hをキープし10分、20分走り性能把握に務めます。

 発進の1速はラフに繋ぐとツルツルが襲います。丁寧なクラッチミートでそろりが必要。2速、3速までが限界。停止は余裕を持って自発的なポンピングブレーキで減速しつつです。いつもの感覚で踏むと厳しい。やはり峠の最強アイス路は街中の状態とは別次元。

 特に横の効きに不安が。トレッド面のブロックなのかタイヤサイドそのものなのか、いずれにしても剛性に起因する影響かと。対して縦、横に比較すれば効きのレベルは上回る。その点から縦と横の効きに少しばかりアンバランスがあるような。均一化したのなら異なる体感が得られたかも。

 ただこれ以上の性能を望むならコンパウンド系の最新素材に拘る必要があるでしょう。その実現を果たせれば‥

シャーベット

 「AW-1」のシャーベット路での印象は決して悪くない。しかしながら水分多量に含む雪に対する除水には限界が。要は単純なウェット路なら溝の最適化により排水は確実に機能します。

 ところがシャーベットはそこに雪が混じり、トレッド面のブロックやサイプの機能だけでは対応し切れず。ヘビーになればなるほど溢れた水膜の行方が多方へ、ということからグリップ低下で走破性には限界があります。

 一般にシャーベット路は一部でアスファルトが見えることから意外と安心感を抱かせます。しかし、水分を多く含んだ飽くまでもシャーベット状の雪なので実は結構滑りやすい。ヘビーになればなるほど雪路より厄介なコンディションだと個人的には受け止めています。

 従い安全への意識を高め丁寧な運転に徹するなら全く悲観的ではありません。

ウェットはハードに攻めた

 ウェットの試走はワインディング、2速から3速までの低速コーナーが続く場所です。ここ結構激しく攻めてみました。結果ズリは全くありません。アジアンタイヤ(夏タイヤ)のようなグリップ感が得られシフトが決まると気持ちいい。低温時におけるスタッドレスタイヤの有効性は確かです。これ横の挙動。

 縦はハードブレーキまで試しています。ABSによってロックすることは無いけれど、シッカリ止まる感触を確証。その後みぞれが降り路面温度は下がる。そこを深く切り込むもやはりビビるようなシーンはありません。

 トレッドの新デザインによる溝配置が有効性を発揮していると考えます。ブロックの倒れ込みも抑制されている。じゃないとハードな走りにヨレが生じ一気に抜けていたはず。

 ただ一点、背の高いクルマではどうかな? ミニバンでは剛性に対する不安が多少感じることあるかも。それに起因するマイナス性能がやや心配です。

高速走行は街中の延長で行ける

 高速でも街中走行の延長、と捉えて間違いないでしょう。ノイズは普通かな。まぁ快適レベルを維持していると言っていいかと。走行に対する安定性も不変です。ステアリングのブレ無し、車線変更時の不安定性無し。いいね、と評価したい。ただ80km/hまでなんですよね。

 80km/hを超えるとアレ、という僅かな違和感を感じるようになります。100km/hではそれが明らかに。プラスされたノイズが気になるレベルに上がる。またステアリングの追従性が薄らぐような、反応が僅かながら遅れます。この点だけ街中のそれとは明らかに劣るのでビビット感じました。

 その人とクルマにより、この点が性能低下として感じられるかもしれません。

ドライ性能はレスポンスが惜しい

 アスファルトの轍で常にステアリングの微調整を求められることがないのでラク、と感じられるはず。また円を描くような旋回走行も試してみましたが、グリップを確実に感じます。

 限界点までは残念ながら到達出来ませんが、結構頑張っていたかと。まぁアジアンスタッドレスタイヤでここまで試す必要性あるか、という思い無くもないのですがそこそこは知っておきたいので実行しました。

 ただレスポンスという点からするとやや物足りない。これ当方の事情もあるでしょう。従来の50%扁平に比較しダイレクトに伝わる感触が鈍くなった為では。(今回サイズラインアップの関係で55%扁平へ)

 しかしそれは一方で乗り心地に好転、静かさとの共演で快適性に好印象を与えています。扁平率5%の差は想像以上に大きいです。

転がり抵抗の良さで燃費に貢献

 転がり抵抗の良さから加速時の伸びでシフトアップのスムーズさにやや戸惑うほど。それ以上に流れる様な走りにブレーキング時にはいつも以上に気遣うシーンも。

 特にブレーキングのタイミング、当初は遅れ気味を感じさせるほどでした。それだけ転がって行く、ということ。何度かミッションをニュートラルにし試したけれど、転がりの良さは決してオーバートークにならないと思います。そこで燃費を参考に従来品と比較してみました。

【AW-1】
(走行距離) – (燃費)
33.6km – 12.4km/l
172.0km – 11.3km/l
504.4km – 10.3km/l
753.0km – 10.1km/l
920.8km – 10.0km/l
1,825.0km – 8.7km/l

 当初こそ走行を重ねる、距離を稼ぐ走りが多かったので数値は悪くありませんでした。しかし、最後は街中メインでガクッと落ちた。あ~あ、残念‥ と思ったのですが従来品「ESSN-1」と比較してみたら‥

 過去示した「ESSN-1」のレポートでも燃費について触れています。走行形態を都度変えており同一条件ではないものの1シーズン目(一部2シーズン目)の数値を示してみます。

【ESSN-1】
(走行距離) – (燃費)
92.0km – 6.6km/l
511.3km – 6.9km/l
800.0km – 7.1km/l

496.1km – 13.1km/l(2シーズン目、高速メイン)

 「AW-1」の燃費はどうなのかなぁ~と思ったけれど明らかに向上。体感した転がりの良さは気のせいじゃありませんでした。

快適性は概ね満足

 55%扁平の恩恵と言えばいいか、乗り心地柔らかい。ふにゃっとした不自然さじゃなくてシッカリした中でも適度な柔らかさ。45%、50%扁平とは明らかな違いがあります。実際、乗り心地を意識するのなら55%扁平位が丁度いいかもしれません。

 インプレッション時にはエアコンを止め、音楽無しで窓を少し開け走行します。タイヤノイズなど音への集中を高める為です。これがいつものスタイル。今回ノイズの違和感がほとんど無い、要は静です。

 街中から少し郊外の田舎道まで、複数の道路状況違いで試しています。いずれもサァー音が気持ちよく響いて来ます。比較する「ESSN-1」もこの点は評価したかと。ただ静さを表現するサァー音ではないものの僅かなゴォー音ながらノイズレベルは小さい、と伝えました。なので「AW-1」はそれ以上です。

ライフ性能も重要

 寿命(ライフ性能)については最低でも1シーズン様子見が必要、ということでシーズン終了でようやくその評価が可能になりました。今シーズンは近年稀に見る降雪量と回数の多さ。そんな中「AW-1」にとってはシーズンを通し過酷な試走を繰り返しました。

 でシーズン終了の今、状態は前輪と後輪で摩耗に差が出ました。前輪OUT側のショルダーからサイドにかけて僅かに摩耗が見られます。11月初旬に装着し3月下旬まで実質4ヶ月半で2,000km弱の走行距離、しかもかなり厳しい試練を受けながらもまだまだ性能レベルの低下はありません。

 但し、来シーズンはどうかな? 約7か月半の保管期間を経てゴムの劣化がどれほど抑えられるか。最小レベルなら大きな性能低下を感じることなく完遂可能だと思います。2シーズン目は保管次第、ということです。そうそう前後のローテーションは必要でしょう。

まとめ

 「AW-1」に対しては非常に期待を持って臨んだ今シーズンでした。性能項目により剛性面での評価が変わることや、一部で違和感を示すなど厳しい見方をした点もあったけれど、総じてまとめれば従来品「ESSN-1」の良さを踏襲し進化を確実に果たしていると思います。

 アジアンスタッドレスだから‥ 安いからこれぐらいはショウガナイ‥ という妥協点が大幅に減少。レベル向上による満足感が上回ったと思います。トレッドデザインの最新化は果たしたし、残るはメジャーで一般化したコンパウンド素材の拘りです。この点は次世代への課題となるのかな‥

概要

ESSN-1 の後継、NANKANG史上最高性能を謳う

  • カテゴリー:スタッドレス
  • サイズ:13~17インチ
  • 扁平率:80~45%
  • 発売:2020年8月

主張点は国内の厳しい冬路面、そう氷雪路で効きを高め、耐摩耗性を向上、そして静粛性にも拘る3つ。これまでにない先進技術を搭載。アイス路に対する期待がワンランク向上。

製品詳細

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