トーヨー OBSERVE GIZ3 の特徴

製品情報

　トーヨー「OBSERVE GIZ3(オブザーブ ギズ スリー)」は、2020年に発売された「OBSERVE GIZ2」から4年ぶりにモデルチェンジされた最新の乗用車用スタッドレスタイヤです。

　発売は2024年8月で、サイズラインアップは軽カーから普通車、さらに大型SUVまで幅広くカバーしています。特に人気が高まっているSUV向けサイズが新しく追加されたことが注目点です。最近の冬はSUVやクロスオーバー車でスキー場や雪道に出かける人も多い為、この対応は時代に合った展開だと言えます。

　特徴はアイス性能が大きく進化していること。メーカーは、アイスブレーキ性能を従来比で22％も短縮出来たと謳っています。

　これは数字だけではピンと来ないかもしれませんが、例えば従来なら20メートルかかっていた停止距離が、「OBSERVE GIZ3」では約16メートルで止まれるということです。冬道での4メートルの差は、単なる数字以上の意味を持ちます。

　信号待ちでスリップしそうになった時、あるいは交差点で急に前の車が止まった時、この差が事故を回避出来るかどうかに直結するのです。また、アイス路でのコーナーリング性能も改善されていて、クルマが外側に膨らむような不安定さが減る開発を目指しました。

　この特性には、大きく2つの工夫があります。ひとつはトレッドパターンの改良です。「OBSERVE GIZ3」ではヘリンボーンサイプという新しい切れ込みパターンを導入しています。

　細かいジグザグの溝が氷に食い付くように働き、滑りやすい路面でもグリップ力を発揮します。更にアッセンブルブロックという設計で、タイヤ表面のブロックが力を受けても簡単に倒れたり変形したりしないようになっています。

　これによってタイヤ全体がしっかりと路面に接地し、安定して力を伝えられるようになったのです。雪道や氷上では一部のブロックがつぶれるとその部分だけ接地圧が弱まり、結果として滑りやすくなってしまいます。「OBSERVE GIZ3」はそれを防ぐことで、安定した制動力やコーナーリング性能を実現しています。

　もうひとつはコンパウンドの進化です。タイヤの性能を左右するのはトレッドパターンだけでなく、コンパウンドそのものの性質も重要です。スタッドレスの命は低温でどれだけ柔らかさを保てるかですが、従来のコンパウンドはどうしても時間が経つと硬化してしまい、氷に密着する力が落ちて来ます。

　トーヨーは今回、高密着ゲルとサステナグリップポリマーという新しい素材を混ぜ込んだコンパウンドを開発しました。高密着ゲルは氷の表面にある目に見えない凹凸に入り込み、タイヤをピタッと密着させる役割を果たします。そしてサステナグリップポリマーは低温でも柔らかさを維持し易い性質を持ち、さらに経年劣化による硬化を抑えて長持ちさせます。

　つまり、新品の時だけ効くのではなく、2年後、4年後になっても性能が落ち難いというのが大きな特徴なのです。従来のスタッドレスは、数年経つと氷の上で効きが悪くなって交換を考える人が多かったのですが、「OBSERVE GIZ3」はそこを改善している為、ユーザーにとって安心が長持ちするタイヤと言えます。

　また、環境への配慮もポイントです。サステナグリップポリマーの一部に自然由来の素材を使っており、従来の石油資源だけに頼らないタイヤ造りを目指しています。環境負荷を減らすと同時に、ユーザーがエコにも配慮されたタイヤを使っているという満足感も得られるかと。

　SUV用サイズの追加も大きな意味を持ちます。SUVは重くて車高も高い分、タイヤにかかる負担が普通車より大きいのですが、その分氷上や雪道での性能差が顕著に出ます。もし性能が不十分だと、ブレーキを踏んでも滑り易くなり、コーナーで安定を欠いてしまいます。

　「OBSERVE GIZ3」は20インチ級の大径サイズまでカバーしており、さらに「XL」規格で強度を高めている為、大型SUVでも安心して使えるようになっています。

　総合すると、「OBSERVE GIZ3」は現代の冬道環境に非常にマッチしたタイヤでは。特に最近は、昼間に雪が解けてシャーベット状になり、夜に冷え込むとそれが凍ってアイスバーンになることが多く、路面状況がめまぐるしく変化します。

　ドライ、ウェット、シャーベット、アイスと状況が短時間で切り替わる中で、一番怖いのは凍結路面です。トーヨーはその氷への強さに拘って開発を進め、その成果がこの「OBSERVE GIZ3」に集約されています。

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