トーヨーが放つ全天候型オールシーズンタイヤ
- カテゴリー:オールシーズン
- サイズ:14~18インチ
- 扁平率:70~55%
- 発売:2019年8月
- インプレッション募集中
2015年に北米や欧州などで先行投入済み。本場? というかオールシーズン先進市場で、一定の支持を得たことから国内導入に踏み切ったよう。潜在的な顧客開拓を図るとしている。
製品情報
トーヨー「CELSIUS(セルシアス)」はSUV向けオールシーズンタイヤでした。でした、というのは発売当初のこと。現在はそのターゲットが、SUV/ミニバン/セダン/コンパクト/軽カーとなっています。
設定サイズは初期に6サイズでスタート。そして2シーズン目、13サイズを追加し全19サイズ。最新は17サイズに、縮小?
「CELSIUS」は2015年に北米や欧州市場で先行投入されたオールシーズンタイヤであり、特に北米のような夏タイヤ+冬タイヤという2本立て文化が根付き難い市場で歓迎された実績があります。欧州でもドイツやフランスなど中緯度地域で支持を得ました。この成功が国内導入の背中を押したのは間違いありません。
但し、国内事情はやや異なります。日本ではスタッドレスタイヤという冬専用文化が圧倒的に強く根付いている為に、オールシーズンの存在感は長らく希薄でした。その市場を最初にこじ開けたのがグッドイヤーで、特に「VECTOR 4SEASONS」は2010年代半ばから都市部ユーザーを中心に着実に浸透し、現在では第3世代へと進化しています。これを受けてトーヨーも「CELSIUS」を国内に展開した訳です。
「CELSIUS」の発売当初はSUV専用を強調していましたが、これは日本におけるSUV人気の高まりを背景に、より響きやすいキャッチとして新カテゴリーを打ち出した側面が強いと思われます。
実際には欧米同様、乗用車全般をターゲットにするのが本来の戦略であり、現在は軽カーからミニバン、セダンまでフルカバーするラインアップへと拡張しています。サイズ展開が一時的に縮小しているのは需要分布の見直しや、より売れ筋に絞った合理化の結果と考えられます‥
性能面での立ち位置も興味深いところです。トーヨー自身が謙虚な評価を公表しているように、アイス路面や積雪がある環境ではスタッドレスに譲る前提であり、むしろ夏タイヤに近い快適性を保ちながら、都市部の突発的な降雪に対応出来る安心感を重視しています。
シリカ分散を高めたアクティブポリマーや左右非対称パターンの採用はその典型で、転がり抵抗を下げつつスノーフレークマークを確保するという、バランス型の思想が感じられます。
また、オールシーズンと似て非なるものとしてオールラウンド=A/Tタイヤとの区別は重要です。後者はあくまでオフロード耐性を意識したSUV/4×4向けであり、全天候型を狙った「CELSIUS」とは思想が異なります。これとは区別したい。
「CELSIUS」は、日本市場でまだ伸びしろのあるオールシーズン分野において、グッドイヤーが築いた道筋を追う形で導入された挑戦的モデルです。都会派ユーザーにとってスタッドレスまでは不要だが、夏タイヤだけでは不安、という隙間ニーズを埋める立ち位置であり、ターゲット拡張の動きもその文脈の中で理解出来ると思います。