ICE NAVIシリーズ20年となる節目に投入
- カテゴリー:スタッドレス
- サイズ:13~18インチ
- 扁平率:80~40%
- 発売:2017年8月
- インプレッション募集中
1997年に初めて日本市場に導入された「ICE NAVI」シリーズから20年となる節目。氷上ブレーキ性能の向上を最大主張点とし、多彩な路面に対応するトータル性能と経済性の両立を図る。
製品情報
2017年にグッドイヤーが市場へ投入した「ICE NAVI 7(アイスナビ セブン)」は、日本における同社のスタッドレスタイヤ戦略の中で非常に重要な意味を持つモデルとなりました。
初代「ICE NAVI」が登場したのは1997年であり、ちょうど20年という節目にあたる年に発売され、従来以上にアイスブレーキ性能を前面に押し出しながらも、スタッドレスに求められる総合性能と経済性を高次元で両立することを狙ったのです。
アイス性能こそがスタッドレスの評価基準として最も重視される時代背景の中で、その向上度合いが具体的な関心対象となります。
「ICE NAVI 7」は従来モデルである「ICE NAVI 6」と比較して、アイスブレーキ性能が7%向上したと公表されています。
この数値は単なる宣伝ではなく、20km/hで氷上を走行し制動距離を比較した実測結果によるものです。「ICE NAVI 7」の停止距離は14.09mに対し「ICE NAVI 6」は15.11mであり、その差は1.02m。指数換算で100に対して93という関係が示す通り、約7%の短縮が実現されています。この1mの差は数値上は小さく見えても、滑り易いアイス路では大きな安心感の違いとして体感出来るものです。
性能向上を支える技術の柱はコンパウンドとパターンの進化です。まずコンパウンドには新採用のエキストラ・コンタクト・コンパウンドが挙げられます。
これは低温下でも柔軟性を失い難いシリカを従来よりも細かく分散させた素材で、氷表面の微細な凹凸により密着する効果を高めています。路面にしなやかに追従することで摩擦力を稼ぎ、制動性能を押し上げる狙いが明確に反映されています。
更に新パターンとしてセブン・エフェクティブ・デザインが導入されました。大型のセンターブロックを中心とした5リブ構造と4本の太い縦溝を組み合わせ、安定した直進性を確保しながらアイス路での制動力やコーナリング性能を高めています。ブロック内部の横溝は従来以上に細分化され、ブレーキや旋回時に発生する力を効率的に路面へ伝達出来る設計となっています。
ここに加わるのがエキストラ・マルチ・サイプとウルトラ・NAVIブレードです。前者はサイプ量を増やし、エッジ効果を従来比で13%増大させることに成功しています。
アイス路ではタイヤが表面を掻く力が制動性能を大きく左右する為、このエッジの増加が効きを明確に底上げしています。一方で後者のウルトラ・NAVIブレードは、ブロックの過度な倒れ込みを防ぎ、接地面積を安定的に確保する役割を担っています。
その結果、アイス路だけでなく雪中でのせん断力も高まり、雪道を確実にグリップして安定した走行を実現します。このようにして氷雪路での信頼性を大幅に高めつつ、ドライやウエットと言ったオンロード環境でもバランスの取れた性能を維持することが可能になっています。
更に注目すべきは低燃費性能の改善です。「ICE NAVI 7」は「ICE NAVI 6」と比較して転がり抵抗を4%低減しており、その数値はグッドイヤーのスタンダード低燃費タイヤ「GT-Eco Stage」に匹敵する水準に達しています。
つまり冬用タイヤでありながらも燃費面での不利を大幅に緩和し、経済性を含めた総合性能の底上げがなされているのです。スタッドレスというと氷雪路の性能だけに注目されがちですが、都市部ではドライ路面や雨天走行の機会も多い為、このバランスの良さと燃費性能の向上は実使用環境において大きなアドバンテージになります。
「ICE NAVI 7」は、1997年以来続く「ICE NAVI」シリーズの20周年を飾るにふさわしい進化を果たし、単なるアイス性能の強化だけでなく、総合的にユーザーの実生活に寄り添ったスタッドレスとして位置付けられたと言えるでしょう。