タイヤ性能比較(客観的試験)
テュフズード(ドイツに本拠を置く第三者試験認証機関)の日本法人であるテュフズードジャパンでは、日本で販売されている市販タイヤを選定し初めて試験を実施、その結果を公表しています。
今回のタイヤ選定は、サイズが195/65 R15 91H(一銘柄のみ91S)を指定、「入手しやすい、サイズラインナップが多い、特定の性能に特化していない等」の条件が掲げられているようです。これは、国内での販売数が多い、または購入しやすいタイヤがイメージされ、標準的なタイヤ選定に合致すると判断されたのではないでしょうか。
結果、ブリヂストン「B−STYLE EX」、ヨコハマ「DNA Earth−1」、ダンロップ「DIGI−TYRE ECO EC201」、ミシュラン「ENERGY SAVER」の4銘柄が選定されています。
これらのタイヤに対して、「ウェット路面及びドライ路面での性能、騒音、転がり抵抗、実走行燃費、トレッド摩耗/寿命」の試験が行われたようです。試験は主に、ドイツのテストコースや公道で行われ(一部チェコ)、装着車両は、VWゴルフとなっています。
タイヤ性能比較試験
●ウェット路面での制動性能
【タイヤ銘柄】 | 【結果】 |
ミシュラン「ENERGY SAVER」 | 112 |
ヨコハマ「DNA Earth−1」 | 103 |
ブリヂストン「B−STYLE EX」 | 96 |
ダンロップ「DIGI−TYRE ECO EC201」 | 89 |
●ウェット路面での横方向のグリップ性能
【タイヤ銘柄】 | 【結果】 |
ミシュラン「ENERGY SAVER」 | 110 |
ヨコハマ「DNA Earth−1」 | 101 |
ブリヂストン「B−STYLE EX」 | 98 |
ダンロップ「DIGI−TYRE ECO EC201」 | 91 |
●ドライ路面での制動性
【タイヤ銘柄】 | 【結果】 |
ミシュラン「ENERGY SAVER」 | 103 |
ブリヂストン「B−STYLE EX」 | 100 |
ヨコハマ「DNA Earth−1」 | 98 |
ダンロップ「DIGI−TYRE ECO EC201」 | 98 |
●転がり抵抗性能
【タイヤ銘柄】 | 【結果】 |
ヨコハマ「DNA Earth−1」 | 117 |
ミシュラン「ENERGY SAVER」 | 111 |
ブリヂストン「B−STYLE EX」 | 97 |
ダンロップ「DIGI−TYRE ECO EC201」 | 74 |
●燃費性能
【タイヤ銘柄】 | 【結果】 |
ヨコハマ「DNA Earth−1」 | 101.3 |
ミシュラン「ENERGY SAVER」 | 100.6 |
ブリヂストン「B−STYLE EX」 | 99.6 |
ダンロップ「DIGI−TYRE ECO EC201」 | 98.5 |
●予想される寿命
【タイヤ銘柄】 | 【結果】 |
ミシュラン「ENERGY SAVER」 | 139 |
ブリヂストン「B−STYLE EX」 | 100 |
ダンロップ「DIGI−TYRE ECO EC201」 | 88 |
ヨコハマ「DNA Earth−1」 | 74 |
●車内騒音 ・客観的測定(値が大きいほど騒音が大きい、標準16.5)
【タイヤ銘柄】 | 【結果】 |
ヨコハマ「DNA Earth−1」 | 16.0 |
ミシュラン「ENERGY SAVER」 | 16.3 |
ブリヂストン「B−STYLE EX」 | 16.4 |
ダンロップ「DIGI−TYRE ECO EC201」 | 17.2 |
●車内騒音 ・主観的な測定(1から4、1=快適・4=快適でない、標準2.5)
【タイヤ銘柄】 | 【結果】 |
ヨコハマ「DNA Earth−1」 | 1.1 |
ブリヂストン「B−STYLE EX」 | 2.1 |
ダンロップ「DIGI−TYRE ECO EC201」 | 3.3 |
ミシュラン「ENERGY SAVER」 | 3.4 |
タイヤ性能比較試験総評
以上、試験は7分野8項目です。この結果、ミシュラン「ENERGY SAVER」は4項目でトップ。全体的にも好結果です。しかし「ウェット、ドライ」における結果はエコタイヤとしてはやや意外。一般的には、エコタイヤの運動性能は低いと評価されていますが、体感することと試験データは異なるということでしょうか。同じエコタイヤでも国産タイヤとは味付けがやや異なるのかも。
ヨコハマ「DNA Earth−1」は、「燃費と転がり抵抗」でトップですので、エコタイヤとしての性能はやはり高いといえそうです。但し、「予想される寿命」がかなり悪い結果であるのは気に掛かります。ミシュラン「ENERGY SAVER」とは反する性能なのか?
ブリヂストン「B−STYLE EX」は、やや結果が思わしくないようです。コンフォートタイヤとして運動性能は致し方ないとしても、「騒音」の評価は今ひとつ納得いかないところです。また今回の試験には、客観的なデータを示すのが難しい「乗り心地」が含まれていないようですが、この点では評価を得られたかもしれません。
ダンロップ「DIGI−TYRE ECO EC201」は、今回選定されたタイヤの中では性能的にかなり劣ることは明らかですので、他の3銘柄と同じ土俵での試験は辛いところがあるように思います。販売価格が含まれていれば好結果だったでしょう。
今回の試験は、標準的なタイヤの選定が公平さを示すことになっているのだと思います。ただ、日本での販売をメインにしているタイヤ(ミシュラン「ENERGY SAVER」は別)であるはずが、試験場所がドイツやチェコなどで行われ、装着車も外国車であることは気に掛かる点です。このことは、同社の資料でも触れているようです。
これが日本車へ装着され日本国内で試験を行った場合、結果に違いがでるのか興味があります。是非この条件でのデータを見てみたいものです。