アイス性能とスノー性能は相反する性能

yawarakai

 その時の気分によって使い方が異なってしまうのは何とも情けない。アイス路、アイスバーン、氷路、氷上、そして雪路、圧雪、スノー路、雪道。併せて氷雪とすることもある。

 意味することは理解いただけるかと。いわゆる冬の厳しい路面を示す2つの状態です。で、今回はアイスとスノーで行きます。

 アイス性能とスノー性能を高めるには相応の技術が必要で、専用性を発揮するのがスタッドレスです。しかしながらこの2つの性能実現は対極にある、相反する性能と言ってもいい。更にそこにはタイヤの幅に関連付けられた接地面積が影響します。

(2017.9更新)

効きの仕組みが異なる

 以前、と言っても相当前です。スノータイヤは細い(幅が狭い)方がいい、というのが一般的な知識だったかと。接地面積が少ない方が効きへ繋がる考えです。スノー路面では雪により摩擦が最小化します。そこでトレッド面にブロックを設置し深溝を刻みます。タイヤの回転で雪を踏み固め抵抗を作り排雪します。いわゆる 雪柱せん断力 によりグリップを得ている訳です。

 この時、接地面積が狭い(タイヤ幅が細い)と面圧が上がります。ブロックが雪に深く食い込み、効きに繋がるのです。細めが有利 という考え方はここから来ているかと。

アイス路は幅が太い方が有利?

 対してアイス性能の実現はこうなります。アイス路でタイヤが滑るのはタイヤの回転でトレッド面が発熱、摩擦によって氷が解け水膜が発生します。従って水膜を取り除いてやれば滑りが抑えられることになります。

 水膜を取り除く、いわゆる除水は、溝により排水してやるのが一般的な方法です。ただ目に見えない程の僅かなミクロの水膜に対しては必ずしも効率的とは言えず。

 そこで最新性能として取り入れられているのが、直接氷に接するゴムによる除水です。吸水、もしくは撥水とメーカー間で違いがあるもその後の密着へ繋げます。密着すれば抵抗が増しアイス路でグリップします。密着は接地面積が大きい(幅が太い)タイヤが有利と考えられます。

性能両立は最適化

 アイス性能とスノー性能が背反する、と言われるのはこの為です。なら理想はこうなる。路面状況によりタイヤを使い分けすること。また空気圧を路面状況により変える、という考え方もあります。ただ競技ならともかく一般では全く持って非現実的です。

 そこで示されるのが最適化です。タイヤ幅、空気圧などに影響される接地性をバランスし、しかも相反する性能を高位に実現する。これが新車装着時の標準サイズであり、空気圧の指針もそう。スタッドレスでも装着はクルマメーカーの指針に従うのがいい、ですね。そういう私は1サイズ小さくしています。これって予算の関係で本望ではないっす・・